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本駒込に一度も降りたことのない市原ユウイチが主義、主張、哀願をつづるブログ。忘れようとしても思い出せないブログ。


by jet-beetle

ゲキカラ・オーバードライブ

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中学2年の林間学校?(名称失念)でどこに行ったのかは思い出せない。思い出せないけど、宿の前が一面の田んぼで、夜の間じゅうカエルが鳴いていてうるさかったのは覚えている。それが理由じゃないけど、みんなが寝静まった後も一人だけ眠れなくて真っ暗な部屋の布団の中でいろんなことを考えた。
スピッツの『ハチミツ』を聴いていて、そんな忘れそうだったことを思い出した。



『新・幕末純情伝』を観に行ったのだった。
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つかこうへい作品を観に行くのは何度目でしょうか。本人の演出による2003年の『飛龍伝』、北区の『熱海殺人事件』、知人のユニットが上演した『ロマンス』、扉座の『つか版・忠臣蔵』(すばらしかった!)、そして一昨年のRUPの『広島に原爆を落とす日』。…あ、これだけか。

数こそ観ていないものの、僕は学生の頃からいわゆる“つか芝居”がとても好きでした。これぞ演劇であり、演劇というよりもスポーツなんじゃないかっていうくらいの熱量。
一般につか芝居のイメージっていうと、ものすごいスピードで汗と唾を飛ばしながら台詞をまくし立て、BGMに歌謡曲やクラシックを大音量で流し、男も女も殴る蹴る。こっちが置いてかれるくらいのスピードで話が展開していたかと思うと、突然核心的な台詞で観客の心を鷲掴みにし、気が付けば涙ブワーッ。もはや理性とか筋とかどこ行った?くらいの激情で突っ走る。最後は全員タキシードでカーテンコール。ブラボゥ。だと思うんですがどうでしょうか。

ただ、前回観に行った『広島に〜』が個人的に今ひとつだったので、同じ演出家の今回も期待し過ぎないようにしようと思っていました。
(とはいえ、つかこうへいの生前からつか作品のプロデューサーを務めていた人なので、ある意味正当な本家といえるんですが)

幕が上がってしばらくは「やっぱり失敗だったかな…」と思わせられるくらいに熱量も少なくて声量も小さかった。期待した松井玲奈の殺陣も……って感じだったのでちょっとテンション下がっちゃったんですが、話が進むにつれ、というか脇を固めるつか芝居経験者たちの演技が作品を底上げしていって、芯の芝居もそれに引っ張られるように上がっていって。もーほんとよかった。想像の何倍も良かった。たくさんの台詞に勇気づけられ、背中を押され、励まされた。特に主演の二人はほんとーに良かった。ずっと観ていたかった。家までの帰り道、泣き顔がなかなか治らなかった。何が良かったか具体的なことを書き連ねたいけど長くなるので割愛。



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雨の神保町。



etk.

by jet-beetle | 2016-07-19 23:44 | 雑記