本駒込に一度も降りたことのない市原ユウイチが主義、主張、哀願をつづるブログ。忘れようとしても思い出せないブログ。


by jet-beetle

時にはスピッツの話を

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こんばんは。市原です。

毎年7月7日は七夕でありスピッツの日でもあります。思えばスピッツとの付き合いも20年ほどになります。本当はその日に上げたかった記事ではありますが、先日3年ぶりのフルアルバム『醒めない』もリリースされたタイミングで、このタイミングで、スピッツのオリジナルアルバムを独断と偏見と受け売りで格付け&レビューする企画を開催。人知れず、開催。レリゴー。



『ヒバリのこころ』(1990)★★★
インディーズで発売された初のCD。今も昔もとにかくレア物として語られる1枚。御茶ノ水のジャニスでレンタルして聴いたのが5年前。
昔の音源だけあって音は薄いがやはりスピッツ。キャッチーなメロディーは変わらず。“353号線のうた”や“死に物狂いのカゲロウを見ていた”といった、未だメジャー発売されていない曲がお気に入り。“ヒバリのこころ”“恋のうた”といった、のちにメジャーで再録される楽曲の違いを楽しむのもまたおかし。


『スピッツ』(1991)★★★★
メジャーデビュー作。古いアパートの畳の上で作ったような匂いがする。歌詞のエロさ、死の匂い、妄想空想世界の描きっぷりに関してはこれ以上のものはないと思う。魔物とか怪人とか死神といった異形の者が多く出てくる。
前にも書いたかもしれないけど、“ヒバリのこころ”のラスト、ヒバリぃのぉーこーこーろぉー×3の部分は本当に強い。


『名前をつけてやる』(1991)★★★★☆
セカンドアルバム。スピッツのアルバムの中でこれを最高傑作に挙げる人も多い。非常に多い。包装袋に貼ってあったシールにも最高傑作の文字があり、僕が初めて手にしたスピッツのアルバムでもある(1曲も知ってる曲入ってないのに)。
個人的に思うことは色々あるが、アマゾンや各レビューサイトに於ける本作への偏狂的とすら思える愛にあふれた批評を見ると、自分などがこの作品について何か語るのが憚られるくらいである。
とにかく聴いて。マサムネ自身もお気に入りの“ウサギのバイク”、人気の高い“胸に咲いた黄色い花”、インディーズ時代のリメイク“恋のうた”収録。中でも“プール”という曲には狂気や恐怖すら感じる。言葉を失うほどに美しい。


『オーロラになれなかった人のために』
(1992)★★★
ミニアルバム。前作の最後に収められた“魔女旅に出る”で導入したオーケストレイションに手応えを感じ、バンド感よりもホーンやオーケストラに比重が置かれた実験作。そのため、マサムネのソロ感すら感じさせる作風でもある。どの曲も歌詞が悲しげなのは何故かしら。“田舎の生活”は隠れた名曲。


『惑星のかけら』(1992)★★★★☆
他の作品と比べてメロディアスさに欠ける、有名な曲が入ってない、時期的に中途半端、といった理由から最初はこの作品全然好きじゃなかった。
でもこのアルバムの魅力に気付いてからはスピッツのアルバム中でも上位に入るアルバムになった。
スピッツが本来持っていたメタル志向とシューゲイザー志向、そしてキャッチーさが同居しているのは前作もだけど、そこからフォーキーな部分が身を潜めて、よりギターが暴れるアルバムになった。初めて行ったライブで“ハニーハニー”と“僕の天使マリ”をやってくれたのは嬉しかったなー。“アパート”は切ない佳曲。“シュラフ”はなんか知らんが頭の中で再生される頻度が高い。“波のり”の歌い出しの歌詞は衝撃的。“リコシェ号”は毎回ライブの1曲目にしてほしい。
そして“日なたの窓に憧れて”はスピッツ史上5本の指に入る名曲。出す時期が時期だったら確実にミリオン行ってた。


『Crispy!』(1993)★★★
プロデューサーにユニコーンやプリプリを売り出した笹路正徳を迎え、売れることを意識して製作した4枚目。「彼らの良さが消えてる」「振り切れてなくて中途半端」などファンの間でも評価はあまり高くないけど、“裸のままで”“夏が終わる”といった曲はかなり好き。夏の感じがよく出てる。
アルバム自体のセールスはやはり振るわなかったけど、シングルカットされた“君が思い出になる前に”は初めてオリコンチャート入りし、ブレイクのきっかけになった。


『空の飛び方』(1994)★★★★
正にブレイク前夜といった脂の乗り方をしている5枚目。構成がすごくいい。すごく好きで何度でもいつまでも聴いていたい曲と、聴くたびに割と飛ばしちゃう曲の落差が大きいアルバムでもあるけど、トータルバランスとしては『さざなみCD』と並ぶ完成度だと思う。
また、スピッツの楽曲は万人に響く美しいメロディの割に、実はアレンジが複雑だったり高度な演奏技術を要したりするのだけど、ことこのアルバムに限っては(もちろん一筋縄ではいかないけど)ドラムを始め、アレンジがシンプルな気がする。オーバープロデュースだった前作の反動かしら。
“ロビンソン”は人生において2番目に好きな曲だけど(1位はミスチルの“くるみ”)、スピッツ単位で考えたらこのアルバムに入ってるバージョンの“空も飛べるはず”が1番好きかもしれない。“たまご”“不死身のビーナス”そして鬼名曲“サンシャイン”収録。このアルバムからジャケットに女性を起用するのが始まった(そして『フェイクファー』で絶頂を迎える)。


『ハチミツ』(1995)★★★★★★★★
スピッツに限らず、世の中に存在する全てのアルバムの中で最も好きなアルバム。“ロビンソン”“涙がキラリ☆”のヒットで世間的にも認知され、オリジナル盤では最大のセールスを誇る本作。ジャケットや歌詞カードの写真の影響か、旅やアウトドアに持って行きたい1枚。雰囲気が一貫してる。スネアの音がストレートで好き。
…このアルバムは中学2年生の時に後追いで聴いてから、何万回聴いたかわからないので他に何を言ったらいいのかわからない。大体においてスピッツの批評やレビューサイトでは歌詞についての記述が大半を占める傾向があるけど、綺麗で心地よいメロディーに何の違和感もなく歌詞がはまっていて、それがあの歌声で歌われれば、それはもう最初からそれとして存在していたんじゃないかとすら思わされる。


『インディゴ地平線』(1996) ★★★★
大ヒットした“チェリー”と“渚”を含むメジャー7枚目。ブレイク中だけあって多忙を極めたスケジュールの中での製作だったそうな。
どの曲も良い意味で引っかかりがなく、スッと聴ける粒ぞろいの良質なアルバム。特に弱点も見当たらないが、かと言って強みを聞かれると非常に答えづらい。ジェダイで言えばオビ=ワン・ケノービのようなアルバム。2016年現在、最後の笹路正徳プロデュース作。


『フェイクファー』(1998)★★★★
ブレイク期を共に作った笹路正徳の手から離れ、セルフプロデュース(共同プロデュースに棚谷祐一)で製作した8枚目。それまでのやわらかなサウンドから一転、『惑星のかけら』にも通ずるようなギターサウンドがザクザク言ってる印象。
初めてリアルタイムで聴いたスピッツのアルバムだったが、個人的に98年という年はそれまで好きだったB'z、GLAY、イエローモンキー、ジュディマリがこぞって調子を落とした、というか当時中学生の自分の好みとはちょっと違う作品を出していたためあまり良い印象のない時期であり、それはスピッツも例外でなかった。
が、時の流れは素晴らしいもので、大人になることでそれまで分からなかった良さが分かるようになる。ラストに収められた“フェイクファー”の名曲っぷりは言葉にならん。みんなの好きな“楓”も入ってるよ。


『ハヤブサ』(2000)★★★★☆
アルペジオ全開の先行シングル“ホタル”が素晴らしかったのでアルバムもこの路線かなと思いきや、まさかのストレートなロックアルバム。
ハードサウンドの“いろは”、スペイシーでサイケな“甘い手”、ストーカーの心情を歌った“Holiday”、クソカッコいい“メモリーズ・カスタム”、リーダー作の“俺の赤い星”、希望を感じさせる“アカネ”など聴きどころ多し。ライブの定番“8823”はあんまり好きじゃない。
発売当時高校生だった当方、封入されていたアンケート葉書に「“ジュテーム?”が一番良かったです!」とか書いて送っちゃったんだけど、メンバーからしたら複雑だったろうな。聴けばわかる。


『三日月ロック』(2002)★★★☆
前年のシングル“さわって 変わって”から椎名林檎を手がけた亀田誠治がプロデュースを担当。前作にあった重さを軽く、間口を広げてさらに聴きやすくした感じ。“夜を駆ける”“ババロア”“ハネモノ”など今までのスピッツには見られなかったアレンジが施された楽曲が多く見られる。
“水色の街”“ガーベラ”“旅の途中”など個人的に好きな曲も多い。ラストを飾るのが“けもの道”っていうのがとても印象的なアルバム。


『スーベニア』(2005)★★☆
1曲目、“春の歌”。この出だしをタワレコの試聴機で聴いて購入を即決した。
2曲目、“ありふれた人生”。本作中最も好きなナンバー。結構シリアスな歌詞が胸に刺さる。
3曲目、“甘ったれクリーチャー”。ここ数年のスピッツの武器であるザクザクしたギターサウンドで攻める。サビの展開がカッコいい。
4曲目、“優しくなりたいな”。ピアノ中心で奏でられる静かなナンバー。まぁ、悪かない。
5曲目、“ナンプラー日和”。三線を使った琉球音階で…
聴けるのはこの辺まで。スピッツで最も聴かないアルバム。これ以降の曲は不要と言っても過言じゃない。亀田誠治を軽く恨んだ。スピッツがどんどん若手ギターロックバンドみたいに軽くなってきてるのが嫌だった。でも、かつて嫌いだった『フェイクファー』が好きになったように、いつかはこのアルバムも大好きになるのかもしれない。
(発売から11年経った今のところ、やっぱり好きじゃない)


『さざなみCD』(2007)★★★★★
僕が社会人1年目で息切れしていた夏にリリースされたシングル“魔法のコトバ”が快心の出来で、続く“ルキンフォー”“群青”と、先行シングルが高めた期待に見事に応えた12枚目。スピッツの魅力とフレッシュなギターロックサウンドが上手くマッチ。楽曲が粒ぞろいなのは『インディゴ地平線』に通ずるものがあるけど、これはその粒がもっと大きくて角が立ってる感じ。
前作でガッカリして、自分の中でスピッツは終わってしまうのかもしれない…と思っていた時期だっただけにとても嬉しかった。スピッツのアルバム中、2番目に好きなアルバム。


『とげまる』(2010)★★★
嫌いなわけじゃないけど、あまり聴かない1枚。“つぐみ”と“若葉”を聴くためにたまに引っ張り出す程度。
歌謡曲っぽいメロディーの“TRABANT”はクライマックスのストリングスが入ってくるところがすごくカッコいい。“新月”のあの感じはクセになる。“シロクマ”の優しい感じは非常に癒し。
…と頑張って色々書いてはみたけど、今の僕にはこのアルバムを表現する言葉が見つからない。印象が弱いのは、単にこの当時の自分がゆっくり音楽聴けなかったからとかではないはず。


『小さな生き物』(2013)★★★
“ランプ”、“スワン”といったミディアムナンバーの佳曲と“野生のポルカ”、“エンドロールには早すぎる”といったライブ映えする佳曲が同居する2013年作。前作に続いてどうにも評価が定まらない。前述の4曲や冒頭の“未来コオロギ”とか好きなんですけどね。
あらためて聴いて思ったのだけど、ここ数年散見されるようになった、ですます調の歌詞が好きじゃないんだと思った。“潮騒ちゃん”とか。あと、亀田プロデュースになってから元気すぎるのかもしれない。音も歌詞も。僕はもっと明るくもなく元気でもない、根暗だけど夢見がち妄想しがちなスピッツが好きなのかもしれない。
と、こうやって自分が好きなものと向き合うことで、自分とはどんな人間なのかを知る絶好の機会になるのでこの出会いには感謝するしかねーのである。


『醒めない』(2016)???????




おまけ。市原が選ぶスピッツの10曲。
1、ロビンソン
2、空も飛べるはず
3、魚
4、フェイクファー
5、日なたの窓に憧れて
6、旅の途中
7、サンシャイン
8、プール
9、夏が終わる
10、若葉or桃orうめぼしorありふれた人生




etk.

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Commented by サイ子100 at 2016-11-15 14:34 x
自分の中での大切な一枚であるスーベニアが酷評されててちょっと残念wでもまあ、感想や好みは人それぞれですしね。
Commented by jet-beetle at 2016-11-20 00:17
サイ子100さん

コメントありがとうございます。
大切な一枚なのにごめんなさい。スピッツというバンド自体は揺るがなく好きな前提で書いた感想ですが、まぁほんと、人それぞれと言ってしまえばそれまでです(笑)。
でも前半部分はやっぱり好きですし、後半部分の何が好きになれないのか考えることで、よりスピッツを好きになったり自分の好みが分かったりするので、それはそれで楽しいですね。
by jet-beetle | 2016-07-31 00:20 | 音楽 | Comments(2)