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本駒込に一度も降りたことのない市原ユウイチが主義、主張、哀願をつづるブログ。忘れようとしても思い出せないブログ。


by jet-beetle

愛しの怪獣王2016【改訂版】

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こんばんは。市原です。趣味はやさしさにつつまれることです。



8月の終わりに遅ればせながら『シン・ゴジラ』を観に行ってまいりました。映画を観に行けないくらい、家で荷物を受け取れないくらい忙しくなってはいけないと強く思いました。
それを観て思ったことを書こう書こうと思っていたところ、それから1週間も経たない内に小野寺さん(ex.ロージーとハワイマンズ、12月3日生)からMX4Dで観られる権利を譲って頂いたので、それも観た上で、書く。2回観た上で、書く。
以下、物心つく前から昭和ゴジラシリーズを見せられて育ち、本放送から10年の後追いでエヴァンゲリオンも全て観た男の所感。乱文の極み。
(パンフや諸評は未見につき、勘違いや周知の事実もあるかもしれませんがご了承を)


・まずは音楽。スターウォーズ然りだけど、スクリーンを前にして大好きな映画の大好きな、何度も聴いたおなじみの音楽が大音量で流れる快感と感動は言葉にならんです。今回は劇中で伊福部昭作曲によるおなじみのゴジラ音楽がふんだんに使われ、特に初代ゴジラで使われた低音が不気味なあの曲に関しては、当時のままの音源なんじゃねぇのこれ?ってくらいそのまんまで非常にウホウホさせられた。
そして、エヴァファンであれば誰もが作戦立案のシーンで鳴ったBGMにひっくり返ったと思う。良くも悪くも。俺はニヤニヤした。エンドロールで今回の音楽担当が鷺巣詩郎だったと知って胸が熱くなった。


・政府職員の早口かつ専門用語満載の会話にエヴァを感じた。言い方悪いけど、下っ端のぼやきだからこそのエヴァ感。ニヤニヤした。


・ゴジラの吐く熱線、そして燃え盛る街をバックに立つ姿、あれ『巨神兵東京に現る』じゃん!ゾクゾクしたわ。


・エヴァンゲリオンのメカニックシーン、使徒との対決シーン、組織の描き方はこの映画のためにあったんじゃないかとすら思った。


・怪獣映画の醍醐味は逃げ惑う群衆。これに尽きる。あれこそがこっち側とあっち側を結び付ける大事な要素。あれがあるから「もしも自分だったら…」って考えられる。作品が他人事にならない。


・ゴジラ第一(第二?)形態が呑川を移動するシーン。群衆が階段から恐怖に慄くカットがあるけど、あれ初代ゴジラにもあるシーンのオマージュだぜ。へへ。


・1954年公開の『ゴジラ』は戦争の肌触りを知っている人たちが作った映画。ゴジラが東京を襲うシーンはそのまま本土空襲の記憶として描かれている。怪獣映画であると同時に反戦、反核の映画であり、それらに必要な条件・要素が一作に詰まった作品。ゴジラが戦争や核のメタファーとして機能し、描写されていたほとんど唯一の作品。
あの肌触りは70年の平和を過ごしてきた現代人にはどうやったって出せないものだと思う。


・じゃあ、この時代を生きる我々はどう『ゴジラ』と向き合い、描くべきなのか。あの震災直後に日本全体を覆った空気、一変した状況、価値観、露呈した日本人の弱さ、そして現代(人)特有の強み。それらが綿密な調査の元に描写されていて以下略。


・怪獣や災害を前にして呑気でいられる現代日本人の描写が何度もあったけど、エンターテイメントの進歩もその一因にあると思う。小説が事実を凌駕し続けた結果というか。それが覆って現代人の顔に冷や水をぶっかけたのが、9.11と3.11だった。


・ツイッターで「昨夏の『マッドマックス』の時と盛り上がり方が似ている」って呟いたのは、元々のシリーズファン以外を多く巻き込んでるって意味で呟いたのだけど、単に自分のTLで盛り上がってる人たちが一緒ってことだったかも。


・必ずしもそうでないことは分かっているのだけど、昔の特撮作品には特撮中心の俳優が出ていて、平成ゴジラシリーズ以降のようにTVドラマやバラエティー番組でも見かける俳優がメインを張るようなことはなかった印象がある。だから良い悪いって話じゃなくて。


・逃げ惑う群衆が怪獣映画の醍醐味って書いたけど、生活や文明がゴジラに破壊されていくところでは涙が出た。もしかしたら僕は、救世主ではなくて破壊者を待ち望んでいるのかもしれない。こんな世界を、こんな人間社会を破壊してくれるものを。
旧劇エヴァも巨神兵東京に現るも、いわゆる終末モノ。好きな理由もそこにある。


・一昨年の米国版ゴジラはいかにもなCGだったのがいけ好かなかったが、今回のゴジラはCGっぽさが無いのが好い。モーションを務めた野村萬斎の賜物か。唯一CGっぽさが出る第二形態も、あそこまでゴジラとかけ離れた形状であれば気にならない。


・2度目の観賞は初のMX4D。楽しかった。でもパターンが分かってしまうと、ここで来るな、ってのが読めてしまう。ゴジラ以上に適した映画があるはずなので、それとの出会いに期待。
とはいえ今回みたいな機会がなかったら、こういうエンタメの最先端に触れることも知ることもなかった。ほんと感謝です(親に)。


・これは3.11を経て、改めて日米安保について考えさせられることになった日本人の作った、有事の際の極めてリアルなシミュレーションと言っていい。


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2年前のハリウッド版ゴジラを観た時の感想はボロクソ。


etk.

by jet-beetle | 2016-09-01 23:20 | 映画の話